幼老複合施設の介護職は、子育てをしながら続けやすい仕事のひとつです。高齢者の介護に携わるかたわら、併設された保育所に自分の子どもを預けることができるからです。女性の介護士は、出産を機に現場を退くことも少なくありません。また、産後に現場復帰するとなると、どうしても子どもの預け先を確保する必要が出てきます。働きたくても現場復帰が難しい潜在介護士がいるなかで、子どもと一緒に出勤できる幼老複合施設は、出産してからも現場復帰を果たしやすい職場です。これは、老人ホームと保育所が一体になった、複合施設ならではのメリットと言えるでしょう。
幼老複合施設で働く時、介護士が見守ることになるのは高齢者だけではありません。保育所との行き来がある程度自由な施設の場合、高齢者と子どもたちの交流を目で追うことも日課になります。一般的な老人ホームでは、孤独感からふさぎ込みがちになる高齢者も少なくありません。一方、幼老複合施設には、子どもたちとの交流を通して元気を取り戻す高齢者たちの笑顔があふれています。
核家族世帯が増えた昨今、高齢者との触れ合いの機会が持てない子どもたちも増えてきました。そのようななか、子どもの情操教育の面でも望ましい環境と言えるのが幼老複合施設の特徴です。子どもたちは高齢者に寄り添うことで、いたわりの気持ちや思いやりの心を育むことができるでしょう。保育所を利用できる幼老複合施設の仕事は、自分の子どもにも高齢者と触れ合う機会を与えられる貴重な場とも言えるのです。